一口に革と言っても、実に多くの種類があります。財布やバッグなどの革製品を探していると、「ブライドルレザー」というものを見聞きしたことがあるかもしれません。
伝統的な製法で作られている高級比較なのですが、いったいどのような特徴があるのでしょうか?今回はブライドルレザーの魅力や特徴をご紹介します。
●イギリスの伝統的な高級皮革
ブライドルレザーの歴史は1,000年以上前に遡ります。もともと乗馬に使う馬具に使われていた革です。
普通の牛革ではパワーがある馬には太刀打ちできないということで、強度が必要な馬具に使うために開発されたと言われています。
特に丈夫だと言われている牛の肩の部分の革に何度もロウを染み込ませることで繊維を引き締め、強度を高めています。そのため、繊維に染み込んでいたロウが表面に浮き上がって白い粉がかぶったような見た目になります。このロウを優しく拭き取ると、革のツヤが増し、これがブライドルレザーの魅力として愛好家からの支持を得ています。
ろうそくを思い浮かべていただければイメージしやすいのですが、温度が高いとロウは柔らかくなったり溶けたりして、寒いと固まる性質があります。
ブライドルレザーも夏場はロウが溶けてツヤも出やすくなり、冬は表面に粉をかぶったような状態になりやすくなるというように、季節によって革の表情が変わるのもブライドルレザーの個性的な味わいとされています。
また、ブライドルレザーに使われている牛の肩の革は、自然にできた傷跡や血管の跡、シワや色むらが多くある部分です。そのため、それが個性となり同じ製品でも1つ1つ表情が違う、世界に1つだけの品物を手に入れることができるのも魅力です。
頑丈な反面、革自体が非常に硬くて加工が難しく、技術が高い革職人が手がけても1つの製品ができるまでには5ヶ月かかると言われています。厳選された素材と、熟練された技術で手間暇かけて仕上げられる、希少性が高い皮革なのです。
●ブライドルレザーのメリット・デメリット
それではブライドルレザーのメリット・デメリットを見てみましょう。
・メリット
ブライドルレザーのメリットは何と言っても耐久性が高いことです。暴れまわる馬を制御できるくらいの強度ですから、財布やベルトなど、日常生活で使う分にはびくともしません。しっかり手入れをしていれば10年以上は軽くもつと言われています。
加えて、長く使い続けていると他の皮革と同様、柔らかくなっていき、独特の風合いも出てくるという経年変化を楽しめます。
また、水を弾くロウが使われていることと、繊維の密度が高いため、比較的水分に強いのもメリットです。他の革だと水分を吸い込んでシミや色むらが生じてしまいますが、ブライドルレザーであれば汗程度の水分でしたら問題なく使えるかと思います。
・デメリット
先程ご紹介したブライドルレザーの魅力が、人によってはデメリットに感じるかもしれません。
革全体が白く粉を吹いたようになるので、手触りや見た目が気になる方もいます。
また、先程魅力として挙げた傷跡や血管の跡、シワや色むらもデメリットになりえます。表面がデコボコしていたり、色むらが気になる方にはあまりおすすめできません。
革のツヤを楽しみたいならコードバン、凹凸がないなめらかな手触りや見た目を楽しみたいなら、キップを選んだほうが良いかもしれませんね。
ブライドルレザーは個性的なだけあって、好き嫌いもはっきり分かれる、使う人を選ぶ革と言えます。
・ブライドルレザーの手入れ方法
ブライドルレザーを長く使うには他の革と同様、手入れが大切。ただし、たっぷりとロウが染み込ませてあるので、買ってしばらくの間は浮き出てきてきたロウを乾いた布でやさしく吹くだけで、ツヤを楽しむことができます。
買ってからある程度期間が経ち、表面にカサつきが見られるようになった場合は、他の皮革と同様、皮クリームで栄養を与えてあげると良いでしょう。
また、いくら水分に強いからと言ってもさすがに雨などの大量の水に濡れると色ムラなどの原因になってしまいますし、湿気が多いところだとカビが生える場合があります。濡れるのが心配だという方は防水スプレーなどで保護してあげましょう。
ただし、革の表面にロウが浮き出している状態で防水スプレーを吹きかけると白く変色してしまうので、まずはロウを拭き取ってから防水スプレーを吹きかけましょう。
●一度ブライドルレザーを試してみてはいかが?
ブライドルレザーは頑丈で、しかも他の革にはない独特の個性があります。好き嫌いは別れますが、大切に使ってあげれば長持ちもし、経年変化も楽しめる素敵な革です。
いろんな革製品がありますが、今回の記事を読んで「ブライドルレザーも良さそうだな」「試してみたいな」と思っていただけたら嬉しいです。